桂報告書スライドにまた以下の記述がある。
2.論文の図について
・二つの図(細胞増殖率表、DNAメチル化実験)に関して、
小保方氏によるデータの捏造を認定
*若山氏と丹羽氏は、研究不正と認定できるものは、なかった
⑥<小保方氏によるデータの捏造を認定>はいいが、若山氏による捏造教唆の罪に関して加藤研の例と比較して検討してもらいたい。
⑦若山氏と丹羽氏を並列に並べないでいただきたい。若山さんは最初から実験を主導している容疑者の一人で、後から論文の手伝いに入った丹羽さんとはまるで関与の度合いが違う。丹羽さんに不正が無いのは当たり前であるが、この捏造は若山さんと小保方さんの師弟関係で起きている問題なので、丹羽さんを外すと、<若山氏は研究不正と認定できるものはなかった>となる。本当ですか。ボスの命令で無かったという証拠がありますか。一方の主張のみを取り上げないでいただきたい。③を守ってください。どちらが悪いか分らないことは分からないとしてくださいよ。どちらであれ不正があったのなら分からないなりに両方の罪を問うべきでしょ。そういう書き方になってますか。若山さんに不正が無かったと書かれていますよ。
報告書では<(3)なお、細胞増殖率測定のグラフの作成につき、小保方氏は聞き取り調査において、 若山氏から、Yamanaka & Takahashi の Fig.1d の様な図が欲しい、と言われて作成し た、 と繰り返し説明し、この点については聞き取り調査で若山氏も認めていた。>(18P)、<若山氏は、細胞増殖率測定のグラフ作成を小保方氏に提案した研究室の主宰者であり、 小保方氏をシニア研究者として指導監督するとともに、共同研究者として、データの正当性、正確性について十分な注意を払うことが求められていた。若山氏は細胞数の計測 や増殖曲線の作成に直接関与したものではないが、指導監督を怠り、データの正当性、 正確性について検証することなく、このような捏造を生じさせたことの責任は過失とは いえ重大である。 >としている。
また、本文ではメチル化実験に関しても<このようなことが行われた背景には、共同研究者によるデータに対する過剰な期待が あったことが推察された。若山氏は、上記のメチル化解析を小保方氏が行った研究室の 主宰者であり、シニア研究者として小保方氏を指導監督するとともに、共同研究者とし て、データの正当性、正確性について十分な注意を払うことが求められていた。若山氏 はデータの意図的な選別・提示に直接的に関与したとまでは認められないが、小保方氏 が若山氏の過剰な期待に応えようとして捏造を行った面も否定できない。少なくとも若 山氏は、小保方氏の指導監督を怠り、データの正当性、正確性について検証することな く、このような捏造を誘発したと認められ、その責任は過失とはいえ極めて重大である。 >としているのにスライド版では<若山氏と丹羽氏は、研究不正と認定できるものは、なかった>と若山氏が丹羽氏と匹敵できるほどにも不正が無かったと思わせるレトリックになっているのはいかがなものか。
⑧捏造教唆、捏造問題とは別に、細胞増殖率表の作製に関して、報告書本文に以下のようにあるが<小保方氏の出勤記録>なるものを証拠として開示していただきたい。というのも小保方さんは当時客員研究員でハーバード所属であり、正式な勤怠管理は小保方さんの日報メール報告等で、米国側で行われていたと推定されるので、日本の法律に基づく勤怠管理書類は存在していないはずだ。従ってそれがどういうものかが分からない。
>>(1)STAP 幹細胞と ES 細胞の増殖曲線の日にちのズレについて、小保方氏は、それらの 増殖実験を別個に行ったためにズレが生じたと説明した。また、使用した STAP 幹細 胞は FLS であり、ES 細胞については、記憶がないとのことであった。実験ノートに も、この実験の記述は見つからなかった。実験を行った時期は、聞き取り調査時の小 保方氏の記憶によると、ES 細胞を 2011 年の春から夏にかけて、STAP 幹細胞を 2012年の 1 月下旬~2 月に培養を開始したということだが、小保方氏の出勤記録では、こ の頃に 3 日に1回、実験ができた時期は見つからなかった。 (17P)
⑨引用文の示唆するところ、2011年の春から夏、そして引き続き2012年の1月下旬からの120日程度の期間をカヴァーするなんらかの勤怠管理表があるということになるが、彼女は震災の影響で若山研に非正規な形で4月に腰かけて、夏に米国から戻ってきたときに共同研究協約書を4月に遡って締結したときから客員研究員になった。春から夏の非正規腰かけだったころにどんな勤怠管理表があったのか、また、翌年の1月末から5月末の4か月間の勤怠管理漂とはどういうものなのか、実物開示が無理でもどういうものかはお答え願いたい。
⑩<この頃に 3 日に1回、実験ができた時期は見つからなかった。>という記述の<この頃>は2011年のことか、2012年のことか、その両方なのかが判断できないので、明確にしていただきたい。
⑪その上で、ESに関しては彼女は当時増殖実験を行うためのESを持っていなかったはずで、可能性としては学生のGOFESしかないが、そもそも小保方さんはFLSができてから<若山氏から、Yamanaka & Takahashi の Fig.1d の様な図が欲しい、と言われて作成した、 と繰り返し説明し>ている以上、まだ何も成功していない時点の2011年の春から夏に、しかも結果の分かり切ったESの細胞増殖率実験などを行うわけがないのに、ラボに迷惑が掛からないようについている彼女の嘘に気づかなかったのかをお答え願いたい。
⑫記者会見で桂委員長は小保方さんはこの期間、海外出張等で3日に一回の植え継ぎのできる日程が無かったとおっしゃったが、客員が4か月もの間にたった1週間ですら普通の出勤をできないという用件は何でしょうか。勤怠表が開示できないなら項目を具体的に教えていただきたい。すでに頂いている謝礼支給日表ではほとんど出勤になっていますね。小保方さんは休日でも出勤していることがあるのはテラトーマ実験で明らかになっている。建物内に入るときのIDカードによる入出所記録も確認されていますか。それともそのようなものはないのですか。
⑬細胞増殖率表の作製に関して、理研が保全した冷凍庫にFLSの1~8の全ラインのP40が存在している。どんな形であったにせよ、この実験が行われた証拠であるサンプルラベル記録があることは明確で、以下の桂報告本文の書き方はおかしくないであろうか。またこのFLSの8ラインに関して、実験を実際に行ったのが小保方さん一人なのか手伝いがあるのかは、彼女がラボの他のメンバーに迷惑のかからないように嘘をついているのではないかという視点でさらなる調査をお願いしたい。
>>(評価) この実験は行われた記録がなく、同氏の勤務の記録と照合して、Article Fig.5c のよ うに約 3 日ごとに測定が行われたとは認められない。小保方氏の説明を聞いた限りでは、 同氏は細胞生物学の最も基礎となる細胞増殖率測定に必要な「細胞数の計測」という手 技の原理と方法は理解し、最初はそれによって行なっていたものの、途中からはコンフ ルエントになった状態の細胞数を 107とみなし、計測を怠ったものと判断した。特に、小 保方氏は植え継ぎ時に細胞数を正確に計測せずに、Article Fig.5c を作成していたこと を自認しているが、そうだとすると、この図は、細胞増殖率を測定したものとしては全 く意味をなさない。同氏が細胞数の計測という最も基本的な操作をしていないこと、ま た希釈率についても 1/5 と説明したり、1/8 から 1/16 と説明したりしていること、オリ ジナルデータによる確認もできないことから、小保方氏の捏造と認定せざるを得ない。 小保方氏は、1 人で細胞数を計測し、細胞増殖率測定のグラフを作成したことを認めてい るところ、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根底から壊すものであり、 その危険性を認識しながらなされたものと言わざるを得ない。よって、捏造に当たる研 究不正と判断した。 (18P)
- 2019/05/07(火) 13:41:57|
- 桂報告書疑義
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